パワーモジュール用半導体へのめっき技術・種類を詳しく解説!
パワーモジュール用半導体におけるめっきとは
パワーモジュール用の半導体の品質や寿命は、めっき処理の精度によって大きく左右されます。
高出力機器の小型化や高効率化が進む中で、パワーモジュールの電流経路や放熱性能を向上させるには、高度なめっき技術が必要です。近年は車載用途や産業用インバータなど、高負荷条件でのパワーモジュールの使用が増えており、劣化防止や接合信頼性の向上にも注目が集まっています。
ここでは、パワーモジュール用の半導体の基礎と、めっき処理が重要な理由を解説します。
パワーモジュール用半導体の役割とは
パワーモジュール用半導体は、高出力機器において電力の変換や制御を担う重要な素子です。代表的な素子にはMOSFETやIGBTなどがあります。MOSFETは高速なスイッチングが可能で、IGBTは高電圧、大電流に対応可能など、それぞれに違った特徴があります。
それぞれの用途に適切なパワーモジュール用半導体を用いることで、モーター駆動や電源回路でのエネルギーの損失を抑え、装置全体の効率や信頼性を高めることが可能です。
パワーモジュール用半導体は、大電流を流したり発熱したりする状況でも安定して動作するように設計されます。半導体の特性だけでなく、パワーモジュール内の配線や構造も性能に影響しています。
パワーモジュール用半導体にめっきが必要な理由
パワーモジュールに組み込まれる半導体は、高電圧や大電流の伝達を前提として設計されており、接合部の導通性や耐久性などが性能に直結します。しかし、素材そのままでは表面に酸化膜や凹凸ができやすく、抵抗値の上昇や接触不良を引き起こす要因になってしまいます。
こうした課題に対処するために用いられるのが、めっき処理です。融点が低い金属やなめらかに仕上がる金属、酸化しにくい金属などで表面を整えることで、はんだ付け性が高まったり、部品同士の接触不良を防いだりすることが可能です。
めっきは腐食や硫化の進行を抑え、振動や応力によるクラック発生のリスクも軽減させる役割もあるため、車載機器や産業用途のような過酷な環境でも信頼性を確保しやすくなります。

パワーモジュール用半導体へのめっきの種類
パワーモジュール向け半導体では、使用環境や目的に合わせためっきを選ぶことが、性能や信頼性の確保につながります。錫や銀などのめっきの種類によって、導電性や耐食性、コストなどは大きく異なります。
半導体チップとリードフレームの接合方法や、ワイヤボンディングの仕様などによっても相性が変わるため、工程全体を踏まえてどの種類を選ぶか判断することが大切です。加えて、RoHS指令など環境に配慮した規制を遵守することも求められます。
ここでは、パワーモジュール向けの半導体へのめっきに用いられることが多いめっきの種類を紹介します。
パワーモジュール用半導体へのめっきの種類①錫めっき
電子部品の接合部に用いられることが多い錫めっきは、加工のしやすさとはんだ付け性の高さが特徴です。パワーモジュール向けの半導体でも、リード端子や接続部などへのめっき処理に多く採用されています。
耐食性も高く、半導体を保護し、錆びなどの劣化から守ってくれるため、結果的に製品の寿命を伸ばすことにも役立っています。
一方で、錫めっきをおこなう際はウィスカ対策が必要です。ウィスカが成長すると製品の動作不良などにつながるため、下地処理や錫-ビスマス合金めっきの使用などの対策をおこなう必要があります。
スズキハイテックでは、パワーモジュール向けの半導体へのめっきとして、錫および錫-ビスマスめっきに対応しております。純錫めっき後の焼きなましも自社で一貫して対応しているので、ウィスカ対策に関するお悩みもお気軽にご相談ください。
パワーモジュール用半導体へのめっきの種類②銀めっき
銀めっきは、優れた熱伝導性と電気伝導性を併せ持つため、パワーモジュール内部の半導体チップなど、熱的・電気的な接続を安定させる役割を果たしてくれます。
一方、硫化による変色や腐食が起こりやすいという銀特有のデメリットには注意が必要です。長期間の使用が想定される場合、製品の性能が低下するリスクがあります。そのため、別途硫化を防止する処理を施す必要があります。
また、一般的に錫めっきよりもコストがかかることが多いため、大量生産時のコスト管理も大切です。

スズキハイテックの半導体めっき技術
パワーモジュールに組み込まれる半導体のめっきは、膜厚のばらつきや密着不良などが性能低下の原因になり得ます。そうした課題に対し、スズキハイテックは独自の技術と豊富な設備を活かしためっき技術を展開しています。
24時間体制で稼働できる大量生産設備を完備しており、一元管理システム、自動化システムの導入も積極的に進めているため、高品質な納品物をスピーディーに提供することが可能です。
パワーモジュール用半導体へのめっきなど、高品質が求められる表面処理においても、自動検査装置などを用いて高い精度で対応させていただきます。
独自技術によりデラミネーションを抑止
めっきのデラミネーション(層間剥離)は、パワーモジュール向け半導体の性能や寿命に影響する要因の一つです。
このデラミネーションに対し、スズキハイテックでは電解バリ浮かし、アルカリ浸漬などの手法のほか、独自にデラミレスプロセスを開発しました。デラミレスプロセスは従来の手法よりもさらに高い精度でバリ取りができる技術で、これによってデラミネーションを防ぐことが可能です。
また、熱硬化性樹脂バリ除去ラインでは、対象製品の形状やサイズに応じてさまざまなスペックの設備を完備しております。
パワー系半導体モジュールでは、ディスクリート半導体からPMICやIPDモジュールまで、幅広い製品群に対応しております。

パワーモジュール用半導体へのめっきならスズキハイテック
パワーモジュール用半導体へのめっき処理は、スズキハイテックにお任せください。スズキハイテックは、自動ライン、管理体制を整え、高品質かつ高効率なめっき加工が可能です。
また、2025年に増築した尾長島工場には、長さ300mm×幅100mmの大型リードフレームにも対応できる設備を完備しております。短期間でより効率的な生産ができ、今後も継続してご依頼いただくことが可能です。
既存の依頼先の設備が古くなってきている、スムーズな大量生産に対応できないなどのお悩みは、スズキハイテックにご相談ください。
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