無電解ニッケルめっきの硬度(熱処理前・熱処理後)を解説

無電解ニッケルめっきの硬度について
無電解ニッケルめっきの硬度(Hv)について、ご紹介します。
無電解ニッケルめっきは主にリンを共析するニッケル-リン(Ni-P)めっきと、ホウ素を共析するニッケル-ボロンめっき(Ni-B)があります。
この2種類の無電解ニッケルめっきの硬度や特徴は、以下の通りです。
●無電解ニッケルめっき(Ni-P)の硬度と特徴
種類 | 硬度(Hv) | 特徴 |
低リンタイプ | 700 | 硬度が最も高く、耐摩耗性に優れています。はんだ濡れ性も良好で、摩耗が激しい環境での使用に適しています。 |
中リンタイプ | 550 | 耐摩耗性と耐食性のバランスが取れたタイプで、幅広い用途に適用可能です。最も一般的に使用されるタイプです。 |
高リンタイプ | 500 |
耐食性が最も優れたタイプで、腐食環境下での使用に適しています。ただし、一般的にははんだ濡れ性が劣るため、はんだ接合が求められる用途には不向きとされています。 (※弊社では、高リンタイプのはんだ濡れ性を改善する技術「SSNプロセス」を提供しております。詳しくはこちら>>) |
●無電解ニッケルめっき(Ni-B)の硬度と特徴
種類 | 硬度(Hv) | 特徴 |
ニッケル-ボロン | 780 | 硬度が高く、耐摩耗性、はんだ濡れ性が非常に優れています。一方で耐食性に劣り、処理コストが高い一面もあります。 |
熱処理で無電解ニッケルめっきの硬さを更に向上することも可能
無電解ニッケルめっきは、熱処理(ベーキング処理)を施すことで、更なる硬度の向上が可能です。
ベーキング処理とは、鋼材やめっき処理品を一定の温度で加熱することで、信頼性・特性の向上が可能な熱処理です。主に以下の目的で実施されます。
(1)水素脆性の除去(遅れ破壊の防止 ※200℃前後で加熱)
(2)硬度の向上(硬化処理)
【遅れ破壊とは】
素材が一定の力を受け続けた結果、時間の経過とともに突然破壊が生じる現象です。
無電解ニッケルめっきに硬度の向上を目的としてベーキング処理をすると、皮膜は硬質クロムめっきに近い硬度(Hv750~)が得られるため、摩擦が激しい部品や表面硬度が求められる製品に施されます。
以下はベーキング処理後の硬度の変化です。
種類 | 硬度(Hv) | |
熱処理前 | 熱処理後 | |
低リンタイプ | 700 | 1000 |
中リンタイプ | 550 | 950 |
高リンタイプ | 500 | 950 |
ニッケル-ボロン | 780 | 1000 |
※400℃程度の熱で2時間程度加熱
スズキハイテックは様々な無電解ニッケルめっき技術を提供しております。製品の用途や使用環境に適しためっき工程のご提案も可能ですので、めっきのことで課題がありましたらお気軽にご相談ください。
スズキハイテックは製品仕様に応じた無電解ニッケルめっき処理に柔軟対応
弊社では、お客様の製品仕様や用途に応じた無電解ニッケルめっきのご依頼、ご相談を承っております。硬度向上をはじめ、耐食性の向上、はんだ濡れ性の調整、特定の用途に適した表面処理など、様々なご相談に対応可能です。
また、弊社は最新の自動化生産システムを積極的に導入しており、安定した品質でめっき処理の提供ができる体制を整えております。お客様の製品仕様に応じた専用の生産ラインの構築も可能で、試作から量産まで柔軟に対応いたします。
製品の用途やお客様のご要望をお伺いし、最適なめっき工程のご提案もいたしますので、めっきのことで課題がありましたらお気軽にお問い合わせください。
無電解ニッケルめっきのご依頼はスズキハイテックまで
今回のコラムでは、無電解ニッケルめっきの硬度について、ニッケル-リンめっきの硬度、そしてニッケル-ボロンめっきの硬度をご紹介しました。無電解ニッケルめっきは、寸法精度に優れ、薄い膜厚で高い硬度を発揮するため、精密部品にも適しています。
スズキハイテックは様々な無電解ニッケルめっきに対応しており、用途やお客様のご要望に適しためっきプロセスにて、高品質なめっき技術を提供いたしております。表面処理について幅広くご相談頂けますので、お困りのことがありましたらお気軽にご相談ください。長年の経験、最先端の技術力でお客様のモノづくりをサポートいたします。
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