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電解ニッケルめっきと無電解ニッケルめっきの違いを解説!

電解ニッケルめっきと無電解ニッケルめっきの主な違い

電解ニッケルめっきと無電解ニッケルめっきの違いを、手法や皮膜の成分、特性の違いから見てみましょう。

電解ニッケルめっきは電気を流してめっきを析出する手法であるのに対し、無電解ニッケルめっきは自己触媒作用を利用した化学的還元反応を利用してめっき皮膜を析出します。

また、皮膜の成分や特性も、電解ニッケルめっきと無電解ニッケルめっきでは違います。

どのような目的で使われる部品か、どのような素材でできた部品かなどによってどちらの方法が適しているかは違いがあるので、双方の基本的な違いをよく理解しておくことが大切です。

めっきの手法による違い

電解ニッケルめっきと無電解ニッケルめっきの大きな違いは、めっきの際に電気を使用するかどうかという点です。

電解ニッケルめっきは、電気の力を使って製品の表面にめっきを析出する方法です。めっき液に基材を設置して電気を流すと、液中の金属イオンが電流によって基材表面で電子を受け取り、金属に還元し、めっき皮膜が形成されます。

一方、無電解ニッケルめっきは、電気を使わず、次亜リン酸ナトリウムなどの還元剤を含むめっき液中で、化学還元反応によって金属皮膜を析出します。素材の導電性の有無にかかわらず、処理ができる点が特徴です。

双方の違いを理解し、対象物の使用目的や素材の特徴に合わせて、適切な手法を選択しましょう。

めっき皮膜の成分と特性による違い

電解ニッケルめっきと無電解ニッケルめっきでは、皮膜の成分や特性にも違いがあります。

電解ニッケルめっきの皮膜成分は、主に純ニッケルやニッケル‐鉄合金で構成されており、優れた通電性や磁性を持つことが特徴です。ただし、電解ニッケルめっきは皮膜の厚みが形状によって不均一になりやすく、複雑な形状の部品には均一な処理を施すのが難しいです。

硬度や耐食性については、条件によって変動します。たとえば、無電解ニッケルめっき後に熱処理を加えることで硬度を向上させられ、めっき層を厚くすることで一定の耐食性も得られます。ただし、電解ニッケルめっきは無電解ニッケルめっきと比べると、基本的に硬度や耐食性は低いです。

一方、無電解ニッケルめっきには、主にニッケル‐リン(Ni-P)とニッケル‐ホウ素(Ni-B)の2種類があります。いずれも電気を使わずに、化学的な作用によってめっき皮膜を形成します。

一般的に多く用いられるのはニッケル‐リンめっきで、皮膜成分はニッケルとリンの合金で構成されているのが特徴です。リンの含有量によって特性が変わり、含有量が高いほど耐食性に優れ、低いほど硬度やはんだ付け性が高くなる傾向があります。

一方のニッケル‐ホウ素めっきは、皮膜成分にホウ素を含むことで高い硬度や耐摩耗性を発揮するのが特徴です。どちらのタイプも、化学還元反応により複雑な形状や絶縁体に対しても均一な皮膜形成が可能です。

無電解ニッケルめっきとニッケルめっきの違いによるメリット・デメリット

電解ニッケルめっきと無電解ニッケルめっきの違いから、メリットとデメリットを詳しく見ていきましょう。

  • 電解ニッケルめっきのメリット・デメリット
    • メリット
      • 電気を利用した処理であるため、比較的短時間で完了し、大量の製品に対して効率的に処理することが可能です。
      • 無電解ニッケルめっきと比べて、材料費や処理コストを低く済ませやすいです。
    • デメリット
      • 電流の流れやすい部分にはめっきが厚く付きやすく、逆に電流が届きにくい部分ではめっきが薄くなる傾向があり、膜厚の均一性に欠けます。
      • めっき中に微細な穴(ピンホール)が形成されやすく、そこから腐食が進行するリスクがあるため、使用環境や品質要求に応じた対策が求められます。
  • 無電解ニッケルめっきのメリット・デメリット
    • メリット
      • リンの含有量やめっき後に施す熱処理などによって、硬度や耐食性、摩耗性などの特性を調整することが可能です。
      • 電気を使用しないため、プラスチックなどの絶縁体へめっきを施すことが可能です。
      • 複雑な形状の部品にも均一にめっき被膜をつけることが可能です。
    • デメリット
      • めっき液の成分濃度や温度、pHなどを常に適切に保つ必要があり、管理には高度な知識、技術、設備が求められます。
      • 電解ニッケルめっきに比べて材料費や処理時間が増加しやすく、処理コストが高くなる傾向があります。

ニッケルめっきと無電解ニッケルめっきの違いによる選び方

電解ニッケルめっきと無電解ニッケルめっきは、それぞれ特性に違いがあるため、用途に応じて適切な方法を選ぶことが大切です。選定の際には、製品の使用用途、使用環境、素材、形状、さらにはコストなど、さまざまな要素を考慮する必要があります。

たとえば、大量生産品やコストを重視した製品には、処理スピードが速く比較的安価な電解ニッケルめっきが適しています。

一方、高硬度が要求される金型部材や産業用途向けの部品、複雑な形状の部品、そしてプラスチックなどの絶縁体のめっきには、無電解ニッケルめっきが効果的です。耐食性や硬度といった皮膜特性が求められる用途においても、無電解ニッケルめっきが適しています。

スズキハイテックでは、こうした用途や素材特性などの違いに応じて、最適な手法のご提案が可能です。製品の使用環境や目的、予算などをヒアリングしたうえで、最適な処理方法で高い品質のめっき処理をおこないます。

各種ニッケルめっきのご依頼はスズキハイテックへ

電解ニッケルめっきと無電解ニッケルめっきは、手法や皮膜特性などに大きな違いがあります。双方の違いを理解したうえで、対象の製品の材質や形状、使用用途、さらにコストなどに応じた方法を選びましょう。

電解ニッケルメッキ 無電解ニッケルメッキ 違い 作業の様子

スズキハイテックでは、各種ニッケルめっきのご依頼をお受けしています。創業から110年以上に渡り表面処理に向き合い続けてきたスズキハイテックだからこその知識と技術で、適切なめっきの方法をご提案することも可能です。

作業においても常に研究を重ね、自動化システムや最新設備を導入し、安定した品質のめっき技術を提供しています。めっきに関するご相談やお見積りのご依頼などがございましたら、以下よりお気軽にお問い合わせください。

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