パワー半導体向けリードフレームの特徴と使用用途・めっき技術を解説

パワー半導体向けリードフレームの特徴
パワー半導体向けリードフレームは、半導体素子の性能と信頼性を支える重要な部品です。
主に電力変換や制御などの用途で使用されるため、素子から発生する熱を効率的に放散できる熱伝導性や、低抵抗で大電流を流せる電気伝導性、さらには高温環境下でも性能を維持できる耐熱性が求められます。材料には銅や銅合金などが用いられ、用途に応じて銀めっきや錫めっきなどの表面処理が施されます。
ここでは、パワー半導体向けリードフレームの特徴を詳しく見ていきましょう。
熱伝導性が高い
パワー半導体は動作中に大きな熱を発生するため、リードフレームには効率的な熱伝導性が求められます。
パワー半導体向けリードフレームの材料に銅や銅合金などが多く使われるのは、その高い熱伝導性によって素子で発生した熱を基板やヒートシンクなどの外部放熱構造へ効率的に伝えられるからです。熱が効果的に逃げれば半導体素子の温度上昇を抑えられ、過熱による性能低下を防ぎつつ製品寿命を伸ばせます。
また、優れた放熱性能は大量の電流を流す必要がある時にも安定性を確保する上で重要です。
電気伝導性が高い
パワー半導体向けリードフレームは半導体素子と外部回路を接続する役割を持つため、電気伝導性が非常に大切です。
銅や銅合金などの素材のパワー半導体向けリードフレームは低抵抗で電流を効率的に流せるので、電力の損失を抑えて余分な発熱を防ぐことが可能です。このような性質は、長時間の連続した動作や高負荷の条件下でも素子の温度上昇を抑え、安定した電力の制御を可能にしてくれます。
産業機器や電気自動車など、高効率で信頼性が求められる用途でも安心して使用できるかどうかが、パワー半導体向けリードフレームにとっては重要なポイントです。
耐熱性が高い
パワー半導体は動作中に多くの熱を発するため、パワー半導体向けリードフレームには高温環境に耐えられる特性が求められます。
銅や銅合金などの材料に加え、適切な表面処理やめっきを施すことも大切です。適切な材料と表面処理を選べば、高温でも機械的強度や安定性を維持でき、酸化やめっき剥離などの劣化を抑えることも可能です。
とくに自動車や産業機器など過酷な環境で長期間の使用が想定される場合では、こうした耐熱性が製品の寿命や安全性に直結します。
パワー半導体向けリードフレームの使用用途
パワー半導体向けリードフレームは、半導体素子の性能を最大限に引き出すために幅広い分野で利用されています。
とくに産業機器や自動車分野では、高電力の制御や電力変換が必要な装置においてパワー半導体向けリードフレームが重要な役割を担っています。これは、熱や電気を効率的に伝達し、耐久性を確保して信頼性の高い製品の設計を支えるためです。
ここでは、パワー半導体向けリードフレームの具体的な使用用途の一例を解説します。
産業機器のインバータ・電源装置など
産業用インバータ、サーボモータ、電源装置などの産業機器において、パワー半導体向けリードフレームは非常に重要な部品です。
これらのような産業機器は連続運転や高負荷などの条件下で安定性が求められます。リードフレームの高い熱伝導性で発熱を抑え、電気伝導性で電力損失を低減することが、性能に直結します。
また、長期間使用される環境では、時間の経過による熱や湿気、酸化などの影響が蓄積するため、耐熱性や耐腐食性に優れたリードフレームが必要です。このような場合、熱伝導性が高い銅や銅合金などを用いたり、耐食性が高い錫めっきや錫ビスマスめっきなどの表面処理を施したりする必要があります。
自動車のEV・HEV用インバータなど
電気自動車(EV)やハイブリッド車(HEV)では、パワー半導体向けリードフレームがモーター制御装置やインバータなどに幅広く使用されます。
自動車に用いられるパワー半導体向けリードフレームは、高温環境や急激な温度変化、振動といった過酷な条件への耐性が求められるため、耐熱性や機械的強度がとくに重視されます。さらに、このリードフレームは熱や電気を効率的に伝えて半導体素子を保護し、車両全体の信頼性や安全性を支える役割もあるのが特徴です。
半導体素子と外部回路の間で電流を効率よく流す構造になっているため、接触抵抗や発熱を抑えることでエネルギーの損失を低減することも可能です。この特性によって高効率・低損失設計の実現が可能となり、電気自動車(EV)やハイブリッド車(HEV)の性能向上にも役立っています。
パワー半導体向けリードフレームに欠かせないめっき加工
パワー半導体向けリードフレームは、銅や銅合金などの素地だけでは十分な電気伝導性やはんだ付け性などを確保できないことがあります。そのため、機能性を向上させるためにめっきを施すのが一般的です。
めっき加工によりはんだ付け性が向上し、半導体素子とリードフレームの接続の品質が安定して信頼性の高い半導体の製造が可能となります。また、めっきには電気伝導性を高めたり、腐食や酸化などからリードフレームを保護したりという役割もあります。
日本国内では、リードフレームのめっきには高いはんだ付け性や耐食性、伝導性を付与できる錫めっきや錫ビスマスめっきが採用されるのが一般的です。
スズキハイテックのリードフレームへのめっき技術
スズキハイテックでは、パワー半導体向けリードフレームへの錫めっきおよび錫ビスマスめっきに対応しています。製品の用途や素材に応じて、最適なめっき処理を提供することが可能です。
ラックレス連続めっき装置やバレルめっき装置、ラックめっき装置などの各種自動めっき装置を駆使し、パワー半導体向けリードフレームのように大量生産が必要な製品についても安定した品質でお届けしています。
さらに独自のデラミレスプロセスでは、薬液処理によってモールド樹脂にダメージを与えることなく、高精度なバリ除去が可能です。
不良品の低減と品質向上のための品質管理も徹底しており、蛍光X線膜厚測定器や表面解析器なども導入しております。弊社の設備情報については、以下のページもあわせてご覧ください。
パワー半導体向けリードフレームへのめっきはスズキハイテックへ
産業機器や自動車などに用いられるパワー半導体向けリードフレームは、高い熱伝導性・電気伝導性・耐熱性などが求められる重要な部品です。目的や用途に応じて、めっきを施すことも多いです。
スズキハイテックでは、パワー半導体向けリードフレームに最適な錫めっき・錫ビスマスめっきをご提供しています。はんだ付け性や伝導性などの機能性を向上させ、製品の劣化を防ぐめっき加工は、スズキハイテックにお任せください。
リードフレームへのめっきの実績を豊富に持つ弊社の担当者が、最適なめっき方法をご提案いたします。ご相談やお見積りは、以下フォームよりお気軽にお問い合せください。
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